仙台には「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」という市民音楽祭があります。毎年9月上旬に行われており、2日間で75万人の観客が訪れる一大イベントとなっています。
屋外に複数のステージ(46ヶ所)を作り、同時に演奏をするのが、この音楽祭のスタイルです。初めて見たのは、東北大学に進学した年の秋。それまで、このような光景は見たことがなかったので、本当に衝撃的でした。
もう一つ気になったのは「出演者とスタッフが一緒になってステージを創る」という点。出演者は運営協力費を支払い、また、出演者全員でステージを設営及び撤収する。スタッフによるプロデュースも完全に手作り状態。これはまさに「市民のお祭り」であり、新しいコミュニティの形成にもつながっています。
この考え方に影響を受け、仙台では様々な市民音楽祭が生まれました。その中には、学生を中心とした野外フェス「伊達ロックフェスティバル」も含まれています(東北大学軽音楽サークルの有志が具現化しました)。
僕も立ち上げメンバーとしてアイデアを提供させてもらいました。このときの顔ぶれを見てみると、ほとんどが積極的に学外で活動している人たちでした。社会とのつながりを意識していたからこそ、新たな知見を持ち帰り、それを熱い想いと掛け合わせることができたのではないかと思います。
このような経験がきっかけとなり、僕の地元である松本でも市民音楽祭を実現できないか考えるようになりました。SNSなどを通して同志が集まったことにより、1年間の構想期間を経て、2005年に松本ミュージックフェスティバルが誕生しました(2011年まで開催)。
「市民音楽祭」というコンセプトとの出逢いは僕の人生を大きく変えました。これはNPOの可能性について考える転機にもなったように思います。今後は、NPOの持続性を高める運営システムを模索しながら、いくつかのチームで実践を継続します。