2016-01-15

感動体験が人をつくり、地域を元気にする

昨年末、平田大一さん(沖縄県文化振興会理事長)の講演会に行ってきました。舞台役者ということもあり、もの凄く引き込まれるプレゼンテーションでした。

平田さんは現在47歳。南島詩人(役者、演出家、脚本家、詩作家、地域活性家)として活動中。伝統文化の継承・発表に加え、文化を軸にした人づくりや地域おこしに取り組んでいらっしゃいます。活動コンセプトは「感動体験が人をつくり、地域を元気にする」。

和光大学在学中から「南島詩人」を名乗り、生まれ故郷の沖縄県小浜島で覚えた芸能を総動員して独り舞台を上演。島に帰ってからもその活動を行いながら自作の詩集を発表し、並行して、観光民宿と農業体験を組み合わせた「小浜島キビ刈援農塾」を主宰。1999年に沖縄県勝連町(現うるま市)から声がかかり、人づくりと地域おこしに関連するプロジェクトに参加。

そのプロジェクトの概要や平田さんの熱い想いについて書かれた記事があるので掲載しておきます(日本経済新聞)。
郷土の偉人である阿麻和利(あまわり)が琉球古典劇「組踊(くみおどり)」では悪者として描かれている。地域の誇りを取り戻すため阿麻和利を英雄として描き、将来を担う中学生がその史劇を演じるとの構想が生まれた。子供の演劇ワークショップに携わっていた平田に舞台演出の依頼がきた。

新しくアレンジした「現代版組踊」がスタートする。当初は数人しかいなかった出演希望者も徐々に増え、不登校の子も参加するようになった。勝連城跡に設置した仮設舞台には約150人が出演し、上演は大成功だった。自分自身を堂々と表現できた子供たちは涙し、陰で支えた親が涙し、それをみた町のみんなが涙した。平田は確信した。「感動体験が人をつくり、地域を元気にする」と。

「仲井真です」。2011年1月に1本の電話がかかってきた。「どちらの仲井真さんですか」「知事(当時)の仲井真(弘多)です」。沖縄県が4月に新設する文化観光スポーツ部の部長就任要請だった。部長となって会合に出席し知事あいさつを代読するときは、その前後に横笛を吹いたり歌ったり。とにかく県民に県庁を身近に感じてもらえるよう心掛けた。

平田は「県の行政の仕組みと舞台づくりは一緒だった」と話す。事業計画は面白い台本で、人事はふさわしい役者のキャスティング、事業の規模である予算は舞台の規模。職員には説得力と具体的なストーリーのある事業計画を練るよう指導した。

これからの沖縄に必要なことは文化産業の育成と、文化を通じた感動体験だと強調する。文化の産業化は文化の消費だとの批判もある。だが平田は「文化の担い手が本当にやりたい事業を進めるには自主財源が必要で、文化で稼ぐお金を充てるのが一番」という考えだ。

さらに文化を基軸として地域の宝である農業や漁業、観光、スポーツなど様々な分野を結び付け、産業として人づくりや地域の元気につなげる。観光客らは感動を体験し、また訪れたいと思う。文化をベースにした人づくりを通じて感動産業を育て、地域という舞台を輝かせる。平田はそれが一生涯の仕事だと思っている。